咳、喘鳴
夜間も眠れないほどのひどい咳や、ゼイゼイという音が聞こえる時は早めに受診してください。ウイルス感染をきっかけに喘息様の症状を起こしていることがあります。
★気管支喘息
気管支が強い収縮を繰り返したり、粘膜にむくみが生じたり、痰が増えたりすることで気管支の内くうが狭くなるために「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といった呼吸困難症状がおこります。
アレルギー体質(ダニ、ハウスダスト、動物など)、運動、気候の変動、たばこなどの煙、ウイルス感染症などが発作のきっかけとなります。普段から環境整備をしたり、原因となるもの(動物やたばこの煙)を避けるなどの注意をするほかに、発作を起こさないための治療(コントローラーといいます)が大切です。
コントローラーで現在よく使われているのは、吸入ステロイドやロイコトリエン拮抗薬という抗アレルギー薬です。発作が起こってしまったときには、治療の薬(レリーバーといいます)として気管支拡張剤の吸入や飲み薬、貼り薬を使います。粘膜の炎症がひどいときには飲み薬のステロイド薬を少量・短期間使うこともあります。
喘息は、コントロールを良い状態に保って発作を起こさないことがとても重要です。予防のお薬は、調子がよくなると自分で判断して止めてしまいがちですが、必ず医師と相談してお薬の調整をしてもらっていきましょう。
★RSウイルス気管支炎
秋から冬にかけて大流行します。大きなお子さんや大人はあまり症状が重症になりませんが、赤ちゃん(特に6ヶ月未満の赤ちゃん)は「軽い咳、鼻」と思っていたのが数日のうちに重症となり、呼吸が困難になることがあります。
特に重症になりやすい、早産でお生まれになった赤ちゃんや心臓などに病気をもった赤ちゃんは「シナジス」という予防注射が保険適応になっています。対象になる方は以下の通りです。
①在胎35週以下出生・RSウイルス流行開始時に6ヶ月に満たない赤ちゃん
②在胎28週以下出生・RSウイルス流行開始時に12ヶ月に満たない赤ちゃん
③慢性肺疾患で在宅酸素療法などの治療を受けている・または6ヶ月以内に受けていた2歳に満たない赤ちゃん
④先天性心疾患で治療を必要としている2歳までの赤ちゃん
⑤免疫不全症の2歳までの赤ちゃん
⑥ダウン症の2歳までの赤ちゃん
この予防注射はRSウイルス流行中、1ヶ月に1回注射をしなければなりませんが、シーズン中の感染を予防したり、感染しても軽く済ませる効果がすでに報告されています。
★インフルエンザウイルス
冬に大流行し、高熱・咳・はなみず・頭痛・腹痛・関節痛などを起こします。流行する株がその年毎に異なるため、毎年かかる可能性があります。A型インフルエンザはどちらかというと12~2月、B型インフルエンザは2~3月頃に流行することが多いようです。
予防のために毎年10月から12月にかけてワクチンの接種を行います。もしかかってしまった場合、抗ウイルス薬で治療をします。現在よく使われているお薬は以下の通りです。
① オセルタミビル(タミフル)
ドライシロップとカプセルがあります。1日2回、5日間内服します。近年、小児がオセルタミビルを内服して「突然暴れ出した」「わけのわからないことを言い出した」といった報告があり、大変慎重に投与をしていた時期がありました。薬を飲んだために起こった症状なのか、インフルエンザウイルスによって引き起こされた症状なのかははっきりしておらず、現在は10歳未満のお子さんには投与を再開しております。また、1歳未満のお子さんにはこれまで投与は禁止されていましたが、昨年度からは副作用等について充分にご説明をした上で、必要と思われる場合に投与が可能となっております。
②イナビル
吸入するタイプの抗ウイルス薬です。診断された日に1回吸入を行えば効果が持続します。お子さんの場合は、上手に吸入ができるかどうかがポイントになります。
③リレンザ
吸入するタイプの抗ウイルス薬です。1日2回、5日間吸入をします。これも、お子さんの場合は上手に吸入できるかどうかがポイントになります。
④ラピアクタ
点滴するタイプの抗ウイルス薬です。薬が上手に飲めない、吸入もできない場合に使います。
*予防で抗ウイルス薬を使うことはできるの?
家族がインフルエンザに罹患するなど、感染する危険の高い65歳以上の高齢者や、糖尿病・心臓病など慢性疾患をお持ちの方は予防投与の適応になることがあります。自費となりますので、詳しくは医師にご相談ください。